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実装のツボ
このページでは、主に回路図を描いたり、プリント基板を作成したり配線やケース加工など、ハードウェアの実装に関して 調べたり試行錯誤した経緯などを記したいと思います。ちなみに私は元々ソフト屋。プリント基板はおろか、 回路の組み方もろくに知らない状態からお勉強し始めたという感じですので、そんな前提でご覧下さい。
プリント基板の作り方(エディタソフト:PCBE)
回路図を元にプリント基板を作るには…
①PC上で基板のパターンを作成→②プリンタでプリントアウト→③感光基板に露光→④現像→⑤エッチング→⑥穴あけ→⑦仕上げ
というプロセスで作成します。この①~②をPC上で行うのがPCBエディタです。 フリーのPCBエディタはいくつか有るみたいですが、個人が趣味の範囲で使うなら、高戸谷 隆さんが作成した 「プリント基板エディタ」というフリーソフトが良さ気な感じです。このソフトを愛用してますが、綺麗なプリント基板が 自宅でも手軽に作れちゃいます。
後閑さんのサイトにこのソフトの使い方が書かれていたので、私は最初にその情報を参考にして使い方を覚えました。 最近ではこのソフトの使い方を解説した本が出版されたようです。付録のCD-ROMにソフトも収録されています。 先日三省堂に寄った時に見つけて立ち読みしてきました。発売から1週間経ってないホヤホヤでした。 さすがに市販本だけあって、充実してて解り易いです。 クリックすると参考書籍のレビューに移動します。 まぁ、私はさすがにもう操作を覚えてしまったので、今から買おうとは思いませんでしたが。 あ~あ。もっと早く出版されてればよかったのに!!
使い慣れてしまえば大したこと無いのですが、操作性などにクセがあるので何も参考にせず使うと「何がなにやら」ってなっちゃうこと必至。
抵抗やコンデンサ、ダイオード、トランジスタなどあらかじめ幾つかの部品がライブラリとして登録されていますが、PICやAVRなどは 揃っていないので、自分で部品を作ってライブラリに追加して使う必要があります。また、タクトスイッチやISPコネクタなども登録しておくと 便利かと思います。部品の実際の寸法を測って部品として登録できるので、慣れればどんな部品でも使えるようになると思います。
かなり細かいピッチの配線もPCの拡大画面上なら簡単に作れてしまいます。ICのピンの間に線を通すのも簡単。 それを感光基板に焼き付ければしっかり綺麗にプリントできます。
レイヤ管理が出来ます。各レイヤを「回路図」「シルクプリント」「ネジ穴」等に割り当てておいて、プリントアウト時に 必要なレイヤだけプリントする形で使用します。ご家庭で基板作る場合はシルクまで印字することは無い(というか、普通の プリンタでは基板に印字って出来ないですよね?)と思いますが、ガーバーファイル出力もできるので、P板.com等の業者さんに 依頼することも可能。その際には多層基板もシルク印字も可能だし、まぁ、個人利用では不足を感じることは無さそうです。 P板.comのサイト曰く、PCBEでの実績ありとのことでした。
ただ1点。私が最初に理解に手間取ったのはレイヤの概念について。フォトレタッチソフトで「レイヤ」というと、 1枚の絵を複数の部分に分割してそれぞれを別のレイヤに置くことで各レイヤ間の絵がお互いに影響を及ぼさずに編集が出来る というものですが、このソフトのレイヤはフォトレタッチソフトのレイヤとは考え方が少し違います。
各部品はレイヤを共有しており、1つの部品の中にはたくさんのレイヤが存在するということ。例えば、編集画面にIC部品を 例に取ると、「ICの外形をあらわすシルク」「ICの各足を取り付ける穴」「配線部分」の3レイヤで構成されていて、 画面上では各レイヤが見えるのですが、プリントアウトする時にはシルクは印字されず、配線部分から穴を除いた部分が黒く印字 されるという感じになります。(確認印字の場合にはシルクも印字できます)また、配線も1レイヤだけでなく、複数のレイヤを 定義することが出来ます。
- 「PCBEのツボ1」:PCBEは便利で多機能だが操作性にクセがあるので、後閑さんのサイトを参考にするか、解説本を買ってしまうのが手っ取り早い。
- 「PCBEのツボ2」:細い配線も難なくこなせる。
- 「PCBEのツボ3」:レイヤ管理が出来る。多層基板もOK。
- 「PCBEのツボ4」:ガーバーファイル出力して業者さんに依頼することも出来る。
感光基板に露光
露光の方法既にご存知の人には他愛ない話だと思うので読み飛ばしちゃって下さい。なにしろ私はテストボードV1を作るときに 初めてプリント基板に挑戦したばかりの初心者なので…。
まずプリント基板の構造からおさらいを。千石電商やマルツで売られている普通のプリント基板は、 基盤となるガラスエポキシや紙フェノールの板に薄い銅膜(これの部分が最終的に導線のパターンになる)と、 その上に感光剤が塗りつけてあります。感光剤は、光にあたると現像時に解け出し、光にあたらない部分が現像後も残ります。 エッチングの時にこの残った部分が銅をガードし、基板上にパターンとなって残ります。
PCBEなどで印刷したパターンをこの感光面に重ね、光に当てることで感光させるのですが、その光って…というのが このセクションの主な話です。
説明書によると、感光剤は紫外線によって感光するらしいです。なので当てる光には紫外線が含まれていないと なりません。説明書によると使える光源は「太陽光」「捕虫燈(ケミカルランプ)」をつかうようにとのことです。 それらの光源を使うかたは、感光基板に付属の説明書どおりに感光させてみてください。(私は経験無いのでわかりません)
普通の蛍光灯の場合は紫外線が弱いので、露光時間が非常に長くなります。一応使えることは使えるようですが。 太陽光は強さが一定しないので、勘に頼るところが大きいと思うのでパス。ケミカルライトも、それほどたくさん 基板焼くわけじゃないので、間に合わせのいいものがないかなぁと探してみると、いい感じのものを見つけました。
ライトボックスというモノです。私のように古くからカメラをやっている人にはおなじみだと思いますが、 箱の中に蛍光灯などの光源が入っていて、上面が擦りガラス。擦りガラスの上にフィルムを置いてルーペで仕上がりをチェックする 為のものです。私の使っているのは、フジフィルムの「ライトボックスNEW5000」というものです。10w蛍光灯が2本 入っています。
最近はプロもデジカメで仕事をすることが多いようですが、元々はプロがクライアントに納品するフィルムをチェックする際、 ライトボックスの上にフィルムを置いて、ルーペで確認します。なので、擦りガラス全体が均一の明るさになっています。 つまり、明るさにムラがありません。それが最大のメリット!そして、蛍光灯と擦りガラスまでの距離が毎回同じになるので、 感光時間も一定にすることが出来ます。
欠点はやはり中身が蛍光灯ということ。なので紫外線が弱く、感光時間が非常に長くなります。
試しに色んな時間で感光~現像を行ってみたのですが、大体30分~40分でいい感じに感光できました。
注意点として、ライトボックスには箱型のものと薄型のものがあり、薄型のものは蛍光灯ではなく冷陰極管を使っていること。 同じ様に光源として使えるかは正直判りません。冷陰極管は蛍光灯と基本的には同じ動作原理らしいのですが、 紫外線の強さが蛍光灯と同じなのかどうか…。人柱になってもいいよ!というかたはぜひ挑戦してみてください!
そうそう。中身の蛍光灯をケミカルライトに交換すれば、数分で感光が可能になるはずです。