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8ピンPICで作る オペアンプ用 負電源 OS-CONで追試
8ピンPICを使って作った負電源ですが、コンデンサにOS-CONを使って追試験をしてみましたので、 その内容をまとめていきます。あと、専用ICのLTC1144とも性能比べをしてみます。
このページをご覧になる前に、電解コンで行った実験のページ を是非一度ザーッとご覧ください。回路図などはそちらのページに載っていますので。
経緯
前回の実験の疑問点
8ピンのPICにショットキバリアダイオードとアルミ電解コンデンサを組み合わせて負電源を作る 実験を行ってみまし。一応実用レベルという結果は得られましたが、結果の数値に少々納得行かない要因があったので、 OS-CONを使って再実験を行ってみることにしました。
アルミ電解コンデンサはESRやESLが大きいため、電流が大きくなると発熱(電力消費)が大きくなったり、 高周波数ではインダクタンスが増大して性能が落ちると言われています。アルミ電解コンデンサでの実験で思ったほどの 効果が出なかったのは、アルミ電解コンの性能に因るものであろうと。
であれば、ESRもESLも優れたOS-CONなら、今回実験できなかった高周波域で発振させることで もっと大きな電流を取り出すことにも繋がるはず。
一方、アルミ電解コンデンサが1個約10円程度なのに対して、同じくらいの容量のOS-CONは30~50円 程度と割高。2個分の値段で差額を計算すると40~80円といったところ。比率でいうと数倍ですが、 差額ではそれほどの上昇ではないですね。
ちなみに、専用ICも同様の仕組みで動作しているわけだから使用するコンデンサが同じなら同様の結果にも なるはずですよね。(つまり、LTC1144でもアルミ電解コンを使えばそれほど電流取れないだろうということ)
そうそう。発振回路にNE555を使った場合、発振の振幅(電圧幅)が小さいので、多分PICや専用ICほどの 電圧幅を取り出すのは難しいだろうと思います。なのでこれはテスト範囲に含めません。
で、追試の範囲はどこかというと…
まず、まずは8ピンPICにOS-CONを繋いでどの程度の電流が取れるのか調べてみます。 あわせて可聴域以上の周波数ではどの程度の電流が取れるのか調べてみます。
加えて、LTC1144にOS-CONやアルミ電解コンを組み合わせた時にどの程度の電流が取り出せるのか、 そしてBOOSTモードを組み合わせたらどうなるのかを試してみたいと思います。
ただし、手間を省くためにある程度テストパターンを端折り、興味のあるところだけテストすることにします。
実験を行う前に
シミュレーターを使ってみました
8ピンPIC、ショットキ、電解コンの組合せではなんとも不可解な結果になったので、シミュレーターで 同じことやったらどんな結果が得られるのかを見てみたく、何年か前に買ったまま放置してたシミュレーター を使ってみました。
そしたらやはり、電解コンとはずいぶん違う結果…当初想定していたような結果が得られたので、やはり 原因は電解コンにあったんだろうと…。
なら、周波数特性の良いコンデンサ(OS-CON)を使ったらどんな結果になるのかなぁ?と思って、 冒頭に書いたように追試してみたいって話になりました。
シミュレーターで実験した回路
というわけで、CircuitMakerでシミュレーションです。CircuitMakerはブルーバックスの 電子回路シミュレータ入門(加藤ただし著) の付録CD-ROM収録のものを使いました。こんな回路図を使ってテストしています。
右側にある四角いのが矩形波の発振装置で、PICの代わりです。0Vと5Vを交互に出力します。 この図では3125Hzで発振させてます。右側の出力部分に抵抗を繋いで、その両端の電圧を計測します(図の緑のA印の部分)。 シミュレーションを実行すると↓このような画面になって表示されます。横軸が時間、縦軸が電圧です。
この図では、電源オンから約13ミリ秒後くらいに、-1.8V程度で安定出力になっており、また、 スイッチングの毎に小さいノコギリ状のリプルと、長いツララのように伸びたサージが発生しているのがわかります。
この図では、リプルとスイッチング時のサージがどんな風に表示されるのかが分かりやすいように 極端な条件に設定(確か負荷抵抗の値を極端に小さく設定)したものです。実際の回路でこんなに大きく 出力されるというわけではありません。念のため。
時間の経過につれて、ある一定の電圧値(図中のCの電圧)に落ち着いていく経過がグラフ化されて見ることがお分かり いただけると思います。
今回始めてシミュレータなるものを使ってみましたが、やっぱり可視化できるって言うのはいいですねぇ。 部品を集めなくても回路が動かせるし、波形が微少時間で表示されてイメージが掴みやすいし、 パラメータをちょこっと変えるだけで色々なバリエーションがその場でテストできるので。
シミュレータの実行結果
周波数とコンデンサ容量に適当なバリエーションを設け、各パターンの出力電圧と出力電流のシミュレーションを掛けた結果を 記します。それをグラフにしたのが以下です。
電解コンの場合は6250Hzあたりで頭打ちという感じでしたが、OS-CONはやはり10kHzを超えても 出力が落ちると言うことは無く、逆に高出力になっていってます。やっぱりそうだよねぇ。電解コンは周波数特性が 悪かったってことでしょうね。
容量が大きくなれば出力電圧も大きくなると言うのは想像の通りです。
ちなみに300Ωの負荷で電圧は4Vちょっと。電流は14mA程度取り出せそうです。ダイオード2個分の 電圧降下を考慮すれば、立派な数字ではないでしょうか?5V電源からダイオードの電圧降下分を引いたら 頑張っても-4Vちょっとが限界でしょうから、ほぼフルスペックの結果と考えて良いかと思います。
実験の方法
回路図について
電解コンのケースと全く一緒です。プログラムと使うコンデンサにバリエーションを設けて計測します。
バリエーションについて
コンデンサをOS-CONに変更して、再度実験をやり直します。なお、電解コンのときより高い周波数 (可聴域以上)についても実験してみたいので、久々にアセンブラを引っ張り出してみました。 25000Hz出力と、50000Hz出力の2つのプログラムを新造しました。OS-CONは 「10uF」「3.3uF」「1uF」の3種類を用意しました。負荷抵抗は、300Ωと75Ωを使用してみます。
なお、電源に3.3Vも使って見ました。ダイオードでの電圧降下が電源電圧に比べて大きくなるので 効率は期待できないのですが、一応テストしてみます。
使用プログラム
新たに25000Hz用と50000Hz用と100000Hzのプログラムを作りました。アセンブラで組んでいます。 4MHzのPICでは1サイクル数十命令程度しか無いので、かなり原始的なロジックになっています。 (へなちょこプログラムです)
- PIC12F629用25000Hz出力プログラム(ソース)
- PIC12F629用25000Hz出力プログラム(HEXファイル)
- PIC12F629用50000Hz出力プログラム(ソース)
- PIC12F629用50000Hz出力プログラム(HEXファイル)
- PIC12F629用100000Hz出力プログラム(ソース)
- PIC12F629用100000Hz出力プログラム(HEXファイル)
クリックしてダウンロードしてください。
さらに
負電圧生成の専用IC”LTC1144”についても、OS-CONと電解コンを使って出力電圧、出力電流を 調べてみました。BOOSTモードを使うと可聴域より高い発振も可能なので、どうせだからそれも試して 見ました。5V限定ですが、専用ICとの性能くらべをしてみます。
実験結果
8ピンPIC、OS-CON、300Ω負荷の場合
周波数 | 10uF | 3.3uF | 1uF |
3125Hz | -3.91v | -3.25v | -2.00v |
6250Hz | -4.03v | -3.67v | -2.67v |
12500Hz | -4.08v | -3.90v | -3.21v |
25000Hz | -4.11v | -4.06v | -3.82v |
50000Hz | -4.11v | -4.10v | -4.01v |
100000Hz | -4.10v | -4.10v | -4.07v |
この表をグラフ化します。
電圧と抵抗値から電流に換算したグラフです。
8ピンPIC、OS-CON、75Ω負荷の場合
周波数 | 10uF | 3.3uF | 1uF |
12500Hz | -3.00v | -2.74v | -1.94v |
25000Hz | -3.02v | -2.92v | -2.47v |
50000Hz | -3.03v | -3.00v | -2.80v |
100000Hz | -3.02v | -3.00v | -2.95v |
この表をグラフ化します。
電圧と抵抗値から電流に換算したグラフです。
LTC1144、OS-CONの場合
周波数 | 10uF | 3.3uF | 1uF |
300Ω負荷 nomal mode | -3.96v | -3.14v | -1.74 |
300Ω負荷 boost mode | -3.39v | -3.37v | -3.31 |
75Ω負荷 nomal mode | -2.20v | -1.41v | -0.61v |
75Ω負荷 boost mode | -1.73v | -1.71v | -1.64v |
この表をグラフ化します。
電圧と抵抗値から電流に換算したグラフです。
LTC1144、電解コンの場合
動作モード | 33uF | 10uF |
300Ω負荷 nomal mode | -4.07v | -3.86v |
300Ω負荷 boost mode | -3.31v | -3.25v |
75Ω負荷 nomal mode | -2.37v | -2.11v |
75Ω負荷 boost mode | -1.66v | -1.61v |
この表をグラフ化します。
電圧と抵抗値から電流に換算したグラフです。
その他の参考データ
OS-CON、300Ω負荷、3.3V電源(実測3.42V電源)の場合
周波数 | 10uF | 3.3uF | 1uF |
50000Hz | -2.40v | -2.38v | -2.36v |
低ESR電解コン、100000Hz、5.0V電源(実測5.17V電源)の場合
いわゆる、茶色の電解コンです。東信工業50V10uFを使用。
抵抗値 | 10uF |
300Ω | -4.06 |
75Ω | -2.92 |
実験結果のまとめ
(1)8ピンPICの周波数について
OS-CONを用いた場合は、25kHzや50kHz、100kHzでも出力が低下するようなことが ありませんでした。これは普通の電解コンデンサーとは大きく異なる点でした。やはりOS-CONは 周波数特性がよいということが判りました。
周波数が高くなるほど出力電圧(負圧)・出力電流が大きくなりました。また負荷を大きくしても同様に、周波数に 応じて出力が大きくなりました。
(2)8ピンPICの容量について
3.3uF以上のOS-CONを使用した場合、300Ωでも75Ωでも負荷の大きさに関わらず25000Hz・ 50000Hzでも出力にほとんど違いが無いと判りました。周波数を50000Hzまで上げると1uFについても 上記と同レベルに至りました。
(3)電解コンを使用した8ピンPICの出力電圧と比べて
電解コンと同容量のOS-CONは10uFタイプしかなかったため、他の容量については比較が出来ませんが、 10uFについては3125Hzではほぼ同程度の出力が得られました。それ以上の周波数については OS-CONの方が高い出力が得られました。
(4)専用ICにOS-CONを繋いだ場合について
(グラフの軸が8ピンPICの場合と異なっており、少々わかりにくくてすみません。)
ノーマルモードの300Ω負荷については、8ピンPICの3125Hzとほとんど同じ出力になりました。
300Ωブーストモードでは全域でほぼ3.4v程度の出力となりましたが、8ピンPICの25000Hzや50000Hz では4v以上が得られており、8ピンPICの方が出力が大きいとわかりました。
75Ωについては、ノーマル/ブーストの各モードとも8ピンPICよりも出力が大きく劣るとわかりました。
(5)専用ICに電解コンを繋いだ場合について
ほとんどのケースでは、OS-CONよりも出力電圧(負圧)・出力電流が8ピンPICよりも低いことが判りました。 300Ω10uFでは、専用ICのブーストモードと、8ピンPIC12500Hzが同じくらいの出力になっています。 8ピンPICの電解コンについてはそれ以上の周波数の実験を行っていませんが、出力は急落するだろうと予想しています。 専用ICは、一般の電解コンデンサをブーストモードで使用した場合でも、出力が大きく落ちないような工夫がされている 匂いがします。
(6)その他
3.3V(実測では3.42V)の電源を用いて負圧を発生させたところ、およそダイオード2個の電圧降下分 (負圧なので数値は上昇)だけのロスで、2.4V前後の負電圧が得られることが判明しました。大きな電流を取り出さない場合なら、 3.3V電源でも広電圧対応型のオペアンプであれば使用できると考えられます。
一方、5V電源であっても、OS-CONを使わずとも、低ESRの電解コン(茶色の電解コン)を使っても、 OS-CONに近い結果が得られることも判りました。まぁ、OS-CONより1~2割低い結果ではありますが、 ノーマルの電解コンに比べたら比較にならない高性能です。わたし的にはとても意外な結果だったんですが、 この低ESR電解コン、もともとインダクタンスが相当小さいようです。値段に反して、かなり高性能と考えても よさそうです。
考察
総じて
0S-CONを用いた場合、8ピンPIC+ショットキダイオードの方が専用IC(LTC1144)よりも 大きな出力が得られることが判りました。
300Ω程度の負荷であれば4V13mA以上の出力が得られ、75Ωでも3V40mA程度の電流が取り出せることが 判りました。
部品代は、PIC・専用ICともに同額だけ増加するので、相変わらずPICの方が安上がりと判りました。
これらのことから、使用する電源が5Vであれば専用ICに置き換えても充分実用に耐えるスペックであると考えられます。
出力電圧について
専用ICが15Vまで対応しているのに対し、PICは最大5.5Vまでしか使えないので、応用範囲は限定されると 考えられますが、PICやAVRなどのマイコンとオペアンプを組み合わせて使用する際には、専用IC以上の 出力が得られるこの8ピンPICを用いた方が有利と考えられると思います。
周波数について
可聴域を越える周波数(今回は25000Hz、50000Hz、100000Hz)においても、OS-CONを用いれば 充分な出力が得られることが判明したので、オーディオ用オペアンプへの応用も視野に入ったと考えられます。
電解コンデンサーの場合には10kHzを越える領域では出力が低下気味になっていたことを考慮すると、 それなりの負荷を掛けるなら可聴域での使用を強いられることになってしまいますが、OS-CONであれば 可能域以上で充分な出力が得られているので、特にオーディオ用途には都合が良いと考えられます。
ただし、PICマイコンが放出するノイズ(電源ノイズ、電波ノイズ)の影響は目下不明なので、 応用に際しては何らかのテストが必要かと思われます。
8ピンPICの場合は発振の周波数が事前に明示されているため、電源ノイズについては事前に 対策を講じることが可能かという気がします。(PICの電源や、パワー出力部分にフィルタなどを組んで ノイズを抑えるなど … 専用ICの発振周波数は周辺回路や動作状況によって変化するらしいので、対策に支障が想像される。)
実験結果には記していませんが、シミュレーターを用いて、パワーの出力部分と負荷抵抗の間に100uH程度の インダクタを挿入してみたところ、劇的にノイズが小さくなったことが確認されました。どの程度のインダクタを 持ちいれば効果が高いのかは別途考える必要がありますが、小さなコイル1個でも効果は得られると思います。 その際に発振の周波数が判っていればフィルタの計算は可能だろうと考えられます。 (もしくは0.1~0.01uF程度のパスコンでもいいかもしれませんけど。)
目下、そういったノイズの計測や低減化の方策といった技術や道具が無いため、それについては 今後の課題としたいと思います。
部品点数、面積について
電解コンからOS-CONに変わっただけであり、またこれらのコンデンサーは大きさが大体同じなので、 電解コンの場合と比べて大差無しと考えられます。(専用ICより少し面積を取りますが、555などと比べれば面積も小さい)
コストパフォーマンスについて
電解コンを用いる場合については、元々の実験でも触れたとおり専用ICよりコストパフォーマンスで優れているわけですが、 OS-CONを用いた場合でも両者の差額は変わらないので、やはりコストパフォーマンスは優れていると考えられます。
ただ、両者とも総額が同じ額(数十円)増えることになるので、比率的には少し悪くなっているともいえます。 OS-CONを用いた場合の部品代を以下のとおり表に纏めます。
部品 | 8ピンPIC | 専用IC | 補足 |
使用IC | PIC 12F629 100円 |
LTC1144 300円 |
8ピンDIPタイプ 共に秋月価格 |
コンデンサ(2個) | 30×2=60円 | 30×2=60円 | 3.3uFの場合 共に千石価格 |
ショットキダイオード | 25×2=50円 | 不要 | 秋月の10本250円パックから2本 |
パスコン | 5円 | 不要 | セラコン0.1uF 千石価格 |
合計金額 | 225円 | 360円 | 差額:135円 |
参考までに、低ESR電解コンデンサの場合
OS-CONの代わりに、低ESR電解コンデンサ(東信工業のいわゆる茶色の電解コン、50V10μF)を使って、 300Ω負荷100kHz発振でもテストをしてみたので、その結果を以下に記します。
出力電圧 : -4.06V (電流:13.5mA)
ということで、OS-CONにはわずかに及びませんでしたがかなり近い出力が得られました。普通の電解コンデンサ とほとんど変わらないお値段ですが、性能は結構高いと判りました。オーディオ用途でもない限り、安価な低ESR電解コンでも 充分使えると思いました。
その他、実験を通して判ったことなど
今回使用している回路図では、ご覧のとおり出力ピン5本を一つに纏めています。本当はこういう使い方って どう考えてもNGですね。極々短い瞬間、5本の出力ピン同士のどこかがONとOFFでショートしている 可能性がありますから。
でも、一応補足しておきますが、1時間くらい動かしっぱなしにしてもPICが熱を持ったりすることもなく、 またPICから取り出せる電流とPICが電源から入力する電流は、テスタで測った範囲ではほとんどイコール でした。もしショートしていれば発熱したり、その発熱の分が電流のロスとなって現れるはずだと思われます。
発熱も電流の浪費も見られないところを見ると、ひとまず想定どおりに動作していると考えて良さそうです。
各出力ピン同士が微少時間でショートしたりしていれば、入力電流と出力電流に大きな差(IC内部で ショートして浪費されると考えられる)が発生するだろうと思うので、Vdd-Vssに流れる電流と、 出力ピン5本から負荷抵抗に流れる電流の値を比較してみたいと思います。
100kHz、300Ω、10uFの場合出力ピンからの電流は13.67mAでしたが、このときの Vdd-Vssの電流は実測値で14.44mA。つまりPICのCPUコアでの消費は約0.8mA程度です。
データシートに因ると、内蔵発振器4MHzの5Vでは代表値=0.8mAだそうです。おぉ、ビンゴ! データシート通りです! よかった、よかった。ご法度の使い方ではありましたが、どうやら心配していたような 出力ピン同士のショートは発生していないようです。(PICの出力ピンは、各出力が出揃うまでの間にショート してしまうほど周波数特性が良くないということなのでしょうか?想像ですが)
よく、大きな電流を取り出すためにバッファー回路やインバーター回路の出力ピンを何本も束ねて 使用するケースを見かけることがあるので、もしかしたらそれほど恐れる必要は無いのかも知れません。 バッファーやインバーターだって、同じICに同封された回路でもばらつきがあるはずなのに。 まぁ、バッファーやインバーターと比べると、マイコンの出力ピン回路はもっと複雑なので 一概に同レベルで考えてよいものでは無いと思いますが…。
次に、電力(ワット数)を元にしてエネルギー効率を見てみることにします。
この300Ωの場合は、入力した電力は5V×14.44mA=72.2mW。一方、出力した電力は 4.1V×13.67mA=56mW。ということは、56mW÷72.2mW×100%=77.6%という ことになりますね。この浪費(22.4%)の大部分はショットキバリアダイオードのVfによるものと思われます。 上記のとおりPIC自体ではほとんど電力を浪費していないし、OS-CONのESRは極めて小さいので。
そう考えると、なかなかの高効率と考えて良さそうです。負荷を変えた場合は効率が少し変わってくるかと思いますが、 この数値からそれほど大きく変わることもないでしょう。
まとめ
今回の実験を通して、負電圧回路としては充分な電流を高効率に取り出せるという結果が得られました。 また、テスターによる計測結果から、PICの出力ピン同士がショートしてしまうことも無さそうだと 言うことが判りました。
±5V以下での使用に限定すれば、専用IC(LTC1144)よりも大きな電流が取り出せることも判りました。 コストパフォーマンスでは専用ICよりも有利であると言えます。
同じプログラムでもチャージポンプの方向を逆転させれば昇圧回路に使えるはずです。 昇圧回路については別途実験結果を纏めます。
あともう一点気になるのは、高周波(100kHzとか)で使った場合に、オーディオアンプ用(ヘッドホンアンプ用)の 負電源として使い物になるのかどうか。これについても別途実験結果を纏めます。
以上でこの実験を締めくくりたいと思います。